葉酸とは

葉酸は、ビタミンB9やビタミンMとも呼ばれ、8種類あるビタミンB群のひとつです。

ビタミンB群はお互いに協力しながら、炭水化物、脂質、タンパク質の代謝を助ける補酵素として最近特に注目されています。

B群は、そのバランスが大事で、1種類だけを大量にとると他のビタミンが不足してしまうので要注意です。

ビタミン不足

ビタミンB群のなかでも、葉酸はアミノ酸の合成に利用される大事な補酵素です。

葉酸は小腸で吸収され、肝臓に運ばれた後、全身を巡り、DNAの複製に関わり、細胞分裂や発育を促す、血液を作る、などの仕事をしています。

葉酸が今、注目されている理由

今までの栄養学は、食事のなかに「炭水化物、脂質、タンパク質」の三大栄養素がバランスよく入っているかを重視してきました。いわゆるカロリー栄養学です。

カロリー栄養学は、戦後、貧しかった日本の栄養状態を管理するのに重要な役割を果たしてきました。

しかし、現代の新しい栄養学では三大栄養素をいかに消化して、代謝できるかというポイントがクローズアップされています。

せっかく食べた食品も、消化、吸収、利用されなければ、体にとってはかえって毒になってしまうからです。

消化・吸収

そのため代謝に関わるビタミン、ミネラルなどの微量栄養素、ファイトケミカルなどの植物性化学物質の働きの研究が飛躍的に進歩してきました。

「あの人にとってよい効果が出た食品が、なんだか私には合わない」「高価なサプリメントなのに、なんだか効き目を感じない」なんてこと、ありますよね。

それは、人それぞれ消化や代謝の能力がちがうからです。これは、人種差、個人差、男女差があり、そして年齢によっても大きくちがってきます。

「何を摂取しているか」ではなく「いかに吸収し利用できるか」を重視するようになったため、この代謝をサポートする葉酸などのビタミン類が注目されるようになってきたのです。

葉酸が多く含まれる食品

葉酸はサプリメントでとるという選択肢もありますが、まずは食品でとることから考えていきましょう。

葉酸の多い食品は、動物性食品ではレバー、うなぎのキモ、卵黄など。植物性ではほうれん草、クレソン、ブロッコリー、春菊、アスパラガス、納豆などです。

ほうれん草

葉酸はビタミンCのように水溶性のビタミンで、水と熱に弱い性質があるので、水にさらしすぎない、加熱しすぎないなどの調理に工夫をするとより効率的にとることができます。

光に弱い性質もあるので、すぐに冷蔵庫に保管してできるだけ早く使い切るようにしましょう。

葉酸は不足している?

厚生省が求める一日350gの野菜を食べていれば、不足することはありませんが、特に妊娠、授乳中の女性は欠如しないように意識的にとることが大切です。

具体的な葉酸の一日の摂取量は以下のとおりです。

・18歳以上の女性=240μg/日

・妊娠を希望する女性=240+400μg/日

・授乳中の女性=240+100μg/日

日本人の食事摂取基準(2015 年版)厚生労働省

一日に350gのお野菜、食べているでしょうか。

日本人の平均的な野菜摂取量は270gと言われ、350gにあと80gが足りていません。今日、食べたお野菜を振り返ってみてくださいね。

葉酸400μgを食品から摂取する方法

葉酸の多い食品で、どれくらい食べたら400μgがとれるかを比較してみましょう。

・ほうれん草(生)200g(1束)

・ブロッコリー350g(1個)

・サニーレタス350g(1.5束)

・豚のレバー50g

これらをバランスよく食べることが大事です。

例えば、ほうれん草は、鉄分、カルシウム、カロチン、クロロフィルなど妊婦さんに必要な栄養の宝庫ですが、毎日続けて食べないように注意しましょう

毎日食べてはダメ

それは、植物はアルカロイドというごく微量の毒を持っているためで、同じ野菜ばかりだけを続けて食べると中毒症状を起こしてしまうかも知れないからです。

モルヒネ、コカイン、ニコチン、カフェインなど、聞き覚えのあるおなじみの成分も、アルカロイドの一種です。

特に毒性が強いアルカロイドといえば、ジャガイモのソラニンです。ソラニンはジャガイモの芽や緑色に変色した部分にあります。これらは、しっかりと取り除いて食べる必要があります。

ほうれん草やその他の一般的な野菜は、ごく微量のアルカロイドなのでそれほど神経質になる必要はありませんが、野菜は1種類ではなくローテーションするとよいことはぜひ、覚えておいてくださいね。

葉酸が不足しがちな習慣とは?

葉酸はしっかりととれているのに、これを浪費してしまう習慣があります。

それは、お酒をたくさん飲む、油っこいものを食べるなどの食習慣です。ほかには、アスピリンや避妊用ピルを飲んでいる方も、葉酸不足に陥りがちです。

お酒をたくさん飲む

妊活中にお酒やピルといったことはないと思いますが、とった栄養がムダに浪費されないように、いちど習慣を見直してみてみましょう。

必要量はとっているけれど…

最近「日本人の食生活では栄養は十分に足りていて、基本的にサプリメントなどの補助食品は不要」との考えを内閣府の委員会がまとめたそうですが、これは一理あり、また別の側面もあるように思います。

仮に十分な栄養とビタミン、ミネラル、ファイトケミカルがとれているとしても、残念ながら現代の私たちはこれらを浪費してしまう環境に囲まれて生活しています。

「デトックス」という言葉が流行っていますが、これは「解毒」という意味ですね。

解毒が必要ということは、私たちの体には「毒」が溜まっているということ。現代では5歳の子どもの体内にも、すでにたくさんの毒が満たされていて、それは別に特別なことではありません。

デトックス

健康を維持するためには、毒を体の外に出さなければなりません。

解毒の臓器といえば、肝臓と腎臓ですが、ここでは大量のビタミンとミネラルを必要としています。

必要量の栄養は十分にとっているのに、異常な浪費で、結果的に不足しているかも知れない、というトラップがあるのです。

葉酸は、細胞分裂が活発なところで不足しがち

さて、葉酸と妊娠に話を戻しましょう。

葉酸は、アミノ酸や核酸の合成に利用される補酵素という性質上、細胞分裂が活発なところで不足しがちです。

妊娠中のママに葉酸が不足してしまうと、赤ちゃんの頭が異常に小さい、脳が正常に成長しない、などの障害「神経管閉鎖障害」のリスクが高まってしまいます。

葉酸はDNAの複製に関わる補酵素であるため、妊娠中の女性、胎児に必要不可欠な栄養素として有名ですね。

妊娠適齢期の女性が葉酸をとるタイミングは?

妊娠する前から葉酸をとっておくように、という話はよく聞きますよね。

では、なぜこのタイミングが大事なのでしょうか。

一般的に、胎児の神経管は妊娠してから4週間ほどでふさがってしまいます。

1980年、イギリスのリーズ大学で行われた研究では、妊娠4週間までに葉酸サプリメントをとっていたグループで、胎児の神経管障害が出たのはわずか0.6%。葉酸サプリメントをとらなかったグループは5%の障害が出たという結果が出ています。

障害が出た5%の子どものママたちに葉酸サプリメントを与えていれば、ハンディキャップの子どもたちは生まれなかったのでは?と、この研究は倫理的な批判が殺到したことでも当時、大きな話題となりました。

※「ジョナサン・ライト博士の新・栄養療法」廣済堂出版より引用

また、こんな研究もあります。

一度、神経管障害の子どもを生んだ女性で、妊娠前から葉酸サプリメントをとったグループでは、第二子は障害を持った子が一人も生まれませんでした

葉酸を摂取した結果

一方、葉酸サプリメントをとらなかったグループは、9%もの子どもが上の子と同じように神経管障害を持って生まれました

これらの例からも、妊活中の方は、早めに葉酸を適量摂取する大切さがわかりますね。

葉酸推奨〜世界各国の対応

上記のほか、妊娠適齢期に葉酸サプリメントを摂取していたかどうかについての研究はこの50年ほどの間に数多く発表され、これらを根拠に世界中で、妊娠中女性の葉酸摂取が叫ばれるようになりました。

アメリカでは1992年、公衆衛生局が子供を産める年齢のすべての女性に、神経管欠損症予防のために1日400μmgの葉酸摂取を推奨しました。

1993年にはカナダ、ニュージーランド、南アフリカ、1994年にはイギリスで、葉酸摂取の勧告・指導が始まりました。

葉酸摂取の指導

日本でも厚生労働省が2000年より正式に葉酸の推奨をするようになりましたが、他国と比較すると約10年も遅れた対応となりました。

2002年からは母子手帳にも、葉酸の推奨が任意で記載されるようになりました。

日本の対応が遅れた理由は、「日本食では葉酸不足になりにくく、推奨する必要がない」と判断されていたためだそうです。

そうはいっても、戦後、食の欧米かが進み70年が経過している訳ですから、状況は他国と大きくちがったとは考えにくいですね。

葉酸は口唇裂(こうしんれつ)の予防にも効果が!?

また、葉酸は赤ちゃんの神経管障害だけでなく、口唇裂や口蓋裂の予防にも効果があるという研究もあります。

誰でも、どんな小さな障害もなく、元気な赤ちゃんを望むものです。

口唇裂は、命や生活に関わる障害ではなく手術で治せますが、リスクを減らせるならそのほうがいいですよね。

妊娠期だけでない葉酸の効果

葉酸というと、妊娠適齢期の女性が意識的にとるべきというイメージが強いかも知れませんが、心疾患や認知症、精神病にも効果が期待されています。

先ほどご紹介したように、葉酸は細胞分裂の激しいところでより欠乏しやすいです。

例えば、赤血球の寿命は短く、約4ヶ月。このスパンで赤血球は入れ替わり、葉酸はビタミンB12と共に造血に深く関わっています。

葉酸とB12、どちらが不足しても貧血気味になってしまうのでご注意ください。

ほかに葉酸が不足すると、免疫機能が低下する、消化器官がうまく働かないなどの問題が出てきます。

消化器官の不調

心臓病、大腸がん、子宮頸がん、アルツハイマー病のリスクが上がるとの報告もあります。

葉酸〜「フォリック酸」(モノグルタミン酸)と「フォーレイト」(ポリグルタミン酸)

実は、ここからがこの記事の本題。いちばんお伝えしたかったことです。

葉酸は、フォリック酸(folic acid)と、フォーレイト(folate)の2種類があります。

ところが、日本語で「葉酸」と表記された場合、フォリック酸かフォーレイトなのかを見分けることはできません。どちらも同様に「葉酸」と翻訳されているからです。

実際アメリカでも、医療、栄養、健康の専門家が、このフォリック酸とフォーレイトを長年、混同して使ってきましたが、近年その違いや効果、またはデメリットが指摘され問題になってきています。

それでは、フォリック酸とフォーレイトのちがいについて、詳しく見ていきましょう。

フォリック酸とフォーレイトのちがい

結論から言うと、

・フォリック酸は、天然にはない合成された形(モノグルタミン酸)

フォーレイトは、食品に存在するより自然に近い形(ポリグルタミン酸)

と、理解していただければよいと思います。

<参考>
Folic acid

http://jp.iherb.com/Now-Foods-Folic-Acid-with-Vitamin-B-12-800-mcg-250-Tablets/601

Folate

http://jp.iherb.com/Solgar-Folate-As-Metafolin-400-mcg-100-Tablets/14274

フォリック酸は、そのままでは利用できないため、肝臓を通して複雑な過程を経て「メチル葉酸塩」に変換されます。メチル葉酸塩に変換後の利用率は85%という高さです。

フォーレイトは、そのまま利用できますが、利用率は50%とフォリック酸に劣ります。

問題はフォリック酸

実は、このフォリック酸の多量摂取が近年、問題になってきています。

フォリック酸のサプリメントを妊娠中に大量にとっていた女性は、とらなかった女性に比べて、30年後、乳がんによる死亡リスクが2倍になったという研究結果が発表されたのです。

※(ブリティッシュ・メディカルジャーナル2004)

http://www.bmj.com/rapid-response/2011/10/30/folate-debate-two-sides-every-story

当時は、「胎児の神経管閉鎖障害予防のために」と葉酸を意識的にとっていた女性たちですが、それが将来、自分の乳がんに関係するとは夢にも思わなかったでしょう。

乳がんにつながることも

アメリカで、特に妊娠中の女性に向けて葉酸(フォリック酸)強化がはじまってから、神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれる率は大幅に減ったので、フォリック酸はその意味で大きな成果を上げてきました。

ところが、上記のように乳がんだけでなく、アメリカ、カナダ、チリなどでフォリック酸と直腸がんの関連が認められ、ほかにもフォリック酸を毎日1mg摂取することは前立腺がんと関連がある、との研究結果も発表されています。

合成された葉酸(フォリック酸)は、妊娠適齢期の女性、男性一般にとって過剰な摂取は必要なく、有害でさえあるとの結論も出ているほどです。

食品添加物としてのフォリック酸

では、なぜフォリック酸が過剰摂取されてしまったのでしょうか?

葉酸の必要性が強調されるようになってから、海外ではシリアルやグラノーラ、パンケーキミックスなど、栄養強化食品として葉酸が添加されるようになったことも原因のひとつと考えられます。

栄養強化食品

サプリメントで400μgの葉酸(フォリック酸)をとったうえに、知らずに葉酸強化食品を大量に食べていたのかも知れません。

葉酸(フォリック酸)と発がんについての研究者たちも、栄養強化食品中の葉酸の過剰消費ががんの発生率増加に関係しているという仮説を立てています。

どうやら、代謝されずに血中に残った葉酸(フォリック酸)が、がんを殺すナチュラルキラー細胞を傷つけてしまい、がんが増えてしまうという仕組みのようです。

<引用元>http://chriskresser.com/folate-vs-folic-acid/

 

葉酸の摂取上限について

厚生労働省でが、示している1日の葉酸摂取量の上限は、20代女性が900μg、30代女性が1000μg(1mg)。これより多くとらないように指導しています。

葉酸は、ビタミンCと同様に水溶性ビタミンで水に溶けやすく、とりすぎても自然に体から出て行くと言われてきましたが、実際はちがったんですね。

サプリメントで400μgをとり、ほうれん草やブロッコリー、レバーを食べるように心がけ、そのうえ葉酸(フォリック酸)入りのシリアルも食べていたら、過剰摂取になってしまうかも知れません。

葉酸を適量バランスよくとる方法

食品だけから葉酸をとっていたら、過剰摂取になることはまずありませんが、不足する恐れがあります。

そんなときは、フォーレイトの葉酸サプリメントを上手に利用しましょう。

先ほどもご説明したように、日本語では「フォリック酸」「フォーレイト」のどちらも「葉酸」とだけ表記されていますが、ひとつ見分ける方法があります。

原材料に「ほうれん草、レモン抽出物」など食品が掲載されているものが安心です。

特に妊娠中、つわりなどで食事の準備をするのも辛い、食の好みが変わって葉酸を含む食品なんか食べたいとも思わない、ということがありますよね。

そんなときに「フォリック酸が…フォーレイトが…」なんて考える余裕はありません。

基本は食事にして、フォーレイトの葉酸サプリメントを加えていきます。

そして、ここからが大切です。

葉酸入りの栄養強化食品を、徹底的に排除しましょう

栄養強化食品を排除

シリアル、グラノーラ、ジュース、牛乳、お茶、プロテインなど、必ずパッケージをひっくり返して「裏」の原材料をチェックしましょう。

お腹の赤ちゃんも、ママもずっと健康でいるために大切なことです。ぜひ、計画的に良質な葉酸を適量とるように心がけてくださいね。

まとめ

 

  • 妊活中の妊娠前から400μgの葉酸を毎日とるようにしましょう。
  • 葉酸は基本、食事から自然な形でとり、不足分はフォーレイトの葉酸サプリメントで補いましょう。
  • 栄養強化食品に含まれる葉酸で、過剰摂取にならないように気をつけましょう。多くの研究でがんと葉酸(フォリック酸)の関連が裏付けられています。
  • 葉酸の不足は、がん、心臓病、腸管障害、アルツハイマー病の原因となると指摘されているので、妊娠に関係なく誰でも不足しないように注意をしましょう。
  • ビタミンB群は補い合って働くので、ひとつの要素が多すぎないようにバランスよくとりましょう。

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